![]() | 生物と無生物のあいだ (講談社現代新書 1891) (2007/05/18) 福岡 伸一 商品詳細を見る |
私の読書遍歴を読んでくださっている方たちには、おそらく普段あまり手にとらないジャンルの新書だろうと思います。一線の生物学者がこのタイトルのような生物学上の大命題を私たち一般アマチュアに解き明かしてくれるということで読み始めましたが、正直なかなか難しい本です。サントリー学芸賞、新書大賞をとり、大変に売れているのだそうです。生命とは自己複製を行うシステムであるというのがここ半世紀の間に何人かのノーベル賞を受賞した科学者達が到達した結論なのだそうで、これを分子生物学の変遷をたどりながらやさしく教えてくださる本なのです。
確かに日常的な例を引いたり、研究者の人間像をなるほどそんな人だったのだと鮮やかに表現しながら、易しい語り口で書いてくださってはいるのですが、なにしろテーマはノーベル賞ものなのでやっぱり難しい。茂木健一郎さんは専門分野が近いから別として、よしもとばななさんは高橋源一郎さんが帯に大推薦しておられるので、私のような全くの文科系でも理解できるだろうとおもったのは少し軽率だったのでしょう。
それでもDNAが二本の螺旋対構造になっていて、そのため30億個のヒトのゲノムのなかから特定の遺伝子を弁別できるのだとか、遺伝子が特定の効果を持つかを検証するために人為的にその遺伝子を破壊しその影響を見る実験方法をノックアウト法というとかいくつかの分子生理学の知識を理解することができました。
しかし正直言ってこの本を最後まで読むことが出来たのは福岡先生には叱られてしまうかもしれませんが、歴史上の一線の科学者たちも自分の名誉のためには結構えげつない競争心をあからさまにしてきたとか、一般日本人のいだくイメージとは大違いの世界における野口英世博士像や、日本とアメリカのポストドクターたちのライフスタイルや象牙の塔における結構因習的な徒弟制度など、やや本筋をはずれたゴシップ部(実際にはこれらの部分が本筋への見事な導入になっているのです)が大変興味深かったこともあります。
それにしても福岡先生の文章力の見事さには敬服します。ニューヨークの騒音とボストンの静謐な夜を比べた文章のくくり、「けれども常に夜のしじまは静かにすべてを包み込み、やがて圧倒していった」など素晴らしい名文だと思います。
それでもDNAが二本の螺旋対構造になっていて、そのため30億個のヒトのゲノムのなかから特定の遺伝子を弁別できるのだとか、遺伝子が特定の効果を持つかを検証するために人為的にその遺伝子を破壊しその影響を見る実験方法をノックアウト法というとかいくつかの分子生理学の知識を理解することができました。
しかし正直言ってこの本を最後まで読むことが出来たのは福岡先生には叱られてしまうかもしれませんが、歴史上の一線の科学者たちも自分の名誉のためには結構えげつない競争心をあからさまにしてきたとか、一般日本人のいだくイメージとは大違いの世界における野口英世博士像や、日本とアメリカのポストドクターたちのライフスタイルや象牙の塔における結構因習的な徒弟制度など、やや本筋をはずれたゴシップ部(実際にはこれらの部分が本筋への見事な導入になっているのです)が大変興味深かったこともあります。
それにしても福岡先生の文章力の見事さには敬服します。ニューヨークの騒音とボストンの静謐な夜を比べた文章のくくり、「けれども常に夜のしじまは静かにすべてを包み込み、やがて圧倒していった」など素晴らしい名文だと思います。
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